DNARとは? 救急隊の心肺蘇生止めてもいい?

2019年5月5日

救急

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DNARとは? 救急隊の心肺蘇生止めてもいい?




DNARとは?


1995年日本救急医学会救命救急法検討委員会から「DNRとは尊厳死の概念に相通じるもので,癌の末期,老衰,救命の可能性がない患者などで,本人または家族の希望で心肺蘇生法(CPR)をおこなわないこと」,「これに基づいて医師が指示する場合をDNR指示(do not resuscitation order)という」との定義が示されている。

しかし,わが国の実情はいまだ患者の医療拒否権について明確な社会合意が形成されたとはいい難く,またDNR実施のガイドラインも公的な発表はなされていない。なおAHA Guideline 2000では,DNRが蘇生する可能性が高いのに蘇生治療は施行しないとの印象を持たれ易いとの考えから,attemptを加え,蘇生に成功することがそう多くない中で蘇生のための処置を試みない用語としてDNARdo not attempt resuscitation)が使用されている。
 
 救急業務では,119番通報を受けたときには救急車が出動して,緊急性があるものは,原則として医療機関に搬送することになっている。
 仮に救急隊の応急処置の中止の意思決定を行う場合は,まず本人の意思を十分に確認することが必要であり,加えて医師からの指示内容等も踏まえた極めて慎重な判断が必要である。


DNARに対する私の考え


 救命処置の必要がないとの医師の指示があった場合でも,医師に引き継ぐまでの間の心肺蘇生は必要。

 家族から119番通報があった時点で,救命の意思があるものとして最善を尽くす。

 しかし,救急救命士については医師に特定行為の指示要請をしたときに,特定行為の必要はないと指示があった場合は特定行為は行わない。
 
 あとは,各地域のMCに従って下さい。

関連する法令等


消防法

第二条9項 
 救急業務とは、災害により生じた事故若しくは屋外若しくは公衆の出入する場所において生じた事故(以下この項において「災害による事故等」という。)又は政令で定める場合における災害による事故等に準ずる事故その他の事由で政令で定めるものによる傷病者のうち、医療機関その他の場所へ緊急に搬送する必要があるものを、救急隊によつて、医療機関(厚生労働省令で定める医療機関をいう。第七章の二において同じ。)その他の場所に搬送すること(傷病者が医師の管理下に置かれるまでの間において、緊急やむを得ないものとして、応急の手当を行うことを含む。)をいう。
 

消防法施行令

第四十二条(災害による事故等に準ずる事故その他の事由の範囲等) 
 法第二条第九項の災害による事故等に準ずる事故その他の事由で政令で定めるものは、屋内において生じた事故又は生命に危険を及ぼし、若しくは著しく悪化するおそれがあると認められる症状を示す疾病とし、同項の政令で定める場合は、当該事故その他の事由による傷病者を医療機関その他の場所に迅速に搬送するための適当な手段がない場合とする。
 

救急業務実施基準

十五条
 消防長又は消防署長は、救急事故が発生した旨の通報を受けたとき又は救急事故が発生したことを知ったときは、当該事故の発生場所、傷病者の数及び傷病の程度等を確かめ、直ちに所要の救急隊を出動させなければならない

第十七条 
 隊員及び准隊員は、救急業務の実施に際し、傷病者又はその関係者が搬送を拒んだ場合は、これを搬送しないものとする。
 
第十九条 
 隊員及び准隊員は、傷病者が明らかに死亡している場合又は医師が死亡していると診断した場合は、これを搬送しないものとする。