消防車が出動する際,「ウーウー」というサイレンのほかに,「カンカンカン」という鐘のような音を鳴らす場合があります。
この「カンカン」,どのような意味があるのでしょうか?
また,「ウーウー」はパトカーと同じでしょうか?
みなさんが,街中で耳にする救急車のサイレンと言えば,「ピーポーピーポー」を想像すると思います。子供も救急車をピーポーと呼ぶくらいですので,身近な音になっていると思います。
しかし,救急車は「ピーポーピーポー」とだけ鳴らしているわけではありません。
実はサイレンを使い分けているのです。
みなさんご存知でしたか?
今回は,緊急車両である消防車と救急車のサイレンの音の違いについて説明したいと思います。
救急車のサイレンについて
全国的に導入されている3種類のサイレンの音の違いを紹介します。
ピーポーピーポー
この「ピーポーピーポー」という音は救急車が走行する際に義務付けられているサイレンの音になります。ピーポーピーポー(弱モード・住宅モード)
「ピーポーピーポー」と同じサイレンの音でも夜間や住宅街等で使用する「弱モード・住宅モード」があります。
ウーウー
「ウーウー」はボタンで押したり,助手席の足元にあるフットペダルで鳴らします。
この「ウーウー」というサイレンは,「ピーポーピーポー」以外に特に注意喚起を周囲に促したい時に鳴らします。
救急車が来る時にサイレンを鳴らさないでくださいと言われることがあります。
救急車は傷病者を早く病院へ搬送するために現場に向かいます。
救急車は道路交通法による「緊急車両」に該当するため,緊急時には赤色灯を点灯させてサイレンを鳴らさなければなりません。
ですので,緊急走行でない普通走行で傷病者を迎えに行くのは法律上緊急車両ではない扱いになります。タクシーと同じとまでは言いませんが適正利用をお願いしたいところです。
救急隊は傷病者を安全かつ迅速に病院へ搬送するため,日々業務に励んでおります。
車を締め切って音楽を鳴らしたりエアコンを使用して走行していて気づかない場合があるかもしれませんが,サイレンの音が聞こえたら道を譲っていただきますよう御協力を御願い致します。
消防車のサイレンについて
消防車は,サイレン音と鐘の音の組合せを使い分けています。
火災出動する際は「ウー」に加え「カンカン」という鐘の音(警鐘)を使っています。
これは,江戸時代に火消しが鐘を使っていたことに由来するものです。
また,火災以外で緊急走行をする際は「ウー」音だけになります。
カンカン音は「警鐘」
カンカン音は「警鐘」と言い,火災での出動の際にサイレンと同時に鳴らします。このときの警鐘は「3点鐘」で「カン、カン、カン」と3回ずつ鳴らしています。
ちなみに、火災出動した消防車が鎮火後に戻ってくるときは「カンカン」と鐘の音だけを鳴らしたります。
また,救急車を呼んだのに,消防車が来たと驚かれることがありますが,PA連携や救急支援で消防車が出動することがあります。
救急車が出払っている場合は,消防車に乗った救急隊員が先に現場に行き,救急隊員が適切な処置を行って救急車の到着を待つこともあります。
番外編 パトカーのサイレンについて
パトカーが搭載しているサイレンの音は「ウー」という連続音で,1周期が4秒周期と8秒周期の2種類があります。
また,連続してサイレンを鳴らすだけでなく,手動でサイレンを鳴らす手動モードもあります。
緊急自動車の法的根拠
道路運送車両の保安基準第49条(緊急自動車)
第49条 緊急自動車には、当該自動車が緊急自動車であることを他の交通に示すことができるものとして、警光灯の色、明るさ、サイレンの音量に関し告示で定める基準に適合する警光灯及びサイレンを備えなければならない。2 緊急自動車は、当該自動車が緊急自動車であることを他の交通に示すことができるものとして、車体の塗色に関し告示で定める基準に適合しなければならない。
道路運送車両の保安基準の細目を定める告示〈第三節〉第231条(緊急自動車)
(緊急自動車)第231条緊急自動車に備える警光灯の色、明るさ、サイレンの音量、車体の塗色に関し、保安基準第49条第1項及び第2項の告示で定める基準は、次の各号に掲げる基準とする。一 警光灯は、前方300mの距離から点灯を確認できる赤色のものであること。この場合において、警光灯と連動して作動する赤色の灯火は、この基準に適合するものとする。
二 サイレンの音の大きさは、その自動車の前方20mの位置において90dB以上120dB以下であること。この場合において、サイレンの音の大きさがこの範囲内にないおそれがあるときは、音量計を用いて次により計測するものとする。
計測方法など以下省略します。