マジ?どう指導する? 最近の新人消防士の傾向

2019年5月7日

指導 人間関係

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新人消防士の傾向



 年度も変わり,異動などで新しいメンバーで仕事をしていることだと思います。
 新しいメンバーの中には,消防学校を卒業して2年目,3年目の職員もいることでしょう。
 最近の新人消防士は,学力が優秀な人も多いです。
 全員が当てはまらないと思いますが,みんなから聞く最近の新人消防士の傾向と私が心掛けていた指導方法をまとめてみました。


最近の新人消防士の傾向


1 ゆとり教育
 昔の競争社会ではない,何事にも順位を付けられた事がない,通信簿も1~5の段階ではなく○や◎で表現された。
 結果ではなくプロセスを大切にされてきた。

 ところが,現場に出ると結果を求められる。ここでショックを受ける。

2 今どきの若者
 豊かな社会と多様な選択肢
⇒何がしたいなどの欲求が乏しい,選択を迫られるとしんどく感じる
 
 成長が乏しく判断しきれない
⇒楽で要領がいい方法を求める

 情報化社会の到来(デジタルネイティブ)
⇒欲しい情報がすぐ手に入る,スマホで検索すれば何でもわかる。
 楽して結果が出る状況なので辛抱強く調べたりすることを避ける。

 対人関係の希薄化とコミュニケーションスキルの不足
⇒携帯電話をほとんど人が所持しており,SNSで人との繋がりを実感し,また繋がることで自分の存在を確かめている。

すぐにスマホを触り,先輩と話しているときでもスマホを離さない
大事な仕事の連絡をラインなどで送る
電話の応対方法を知らないなど・・・

数年前から言われていることだが,採用された新卒の新人に即戦力を望むのは無理な時代である。


自立した部下を育てる為には「答えを教える」のではなく,「相手の中の答えを引き出す」という方法が有効

私が管理職になって部下に行った指導方法



1 挨拶はこちらから
 「私は上司や先輩だから,挨拶は部下や後輩から」と思いたいところですが,まずは先手をとって,こちらから。
 新採用職員は緊張しているし,先輩との関係の作り方・距離の取り方がわからない人が多いです。こちらから挨拶をし,挨拶を返されるなかから,少しずつ微妙な関係の作り方・距離の取り方を学んでくれると思います。
 そのうちにきっと,相手から挨拶を返してくれるようになるでしょう。

2 声かけもこちらから
 何か困ることがあっても,なかなか自分からは勇気をもって聞きにくいもの。
 「何か困っていそう」「しんどそう」と気がついたら,こちらから声をかけてみましょう。

3 相手の話をよく聞く
 新人には,消防士になろうと思った動機,この都道府県や市町村を選んだ理由などを聞いて,まずはその思いを認めましょう。 
その際,相手の話が終わらない先から「自分もそうだった」などと言って,自分の話にすりかえないこと。「ちゃんと聞いてもらえた」「認められた」という思いがなければ,以後,本当の思いを話してもらえなくなることも。

4 目を見て話す
 話をするときの原則は,相手の目を見て,相手の反応を見ながら話すこと。そういう姿勢が,お互いの思いを伝え,本音で話ができる関係につながります。

5 話しかけやすい雰囲気を作る
 誰でも,怖そうな人,忙しそうにしている人には話しかけにくいもの。できるだけ笑顔を心がけ,「自分にできることがあったら何でもどうぞ」と気軽にかまえましょう。


6 相手の立場に降りていく
 「自分の時はこうだった,だからここまでできるはず」という思い込みは,思っても口に出さないこと。相手の学習状況を判断したうえで,無理のない目標を立て,一歩一歩,ともに歩んでいこうという気持ちでかかわりましょう。


7 理由を聞く
 こちらがどんなに不可解に思うことでも,その言動には,その人なりの意味があります。市民や同僚に危険を及ぼす緊急時には無理としても,こちらが不思議に思ったことに関しては,理由を聞きましょう。
 その人なりの理由がわかったら,納得できることでしょう。

8 小さな成長を認める
 新人は自分のできていないことばからに目がいき,なかなか自分の成長に気がつかないもの。
 上司や先輩であるあなたが,その小さな成長に目をとめて,返していきましょう。相手は自分の成長に気がついて,自分を認められるようになるでしょう。

9 注意は事実のみに
 一緒に働いていると,新人のできていないことには目がいきがちです。
 そんなとき,その人自身の人格を否定するような注意は,絶対にしないこと。
注意は事実に対してのみ,人前でなく2人きりのところでする方が効果的です。


10 あきらめない
 何度注意しても,同じことの繰り返し。
 伝わったという実感のないむなしさ・・・
 でも,そのむなしさ,多くの消防士が経験しています。
 あきらめないで,投げ出さないで。「あなたのことを考えている,一緒に成長したい。」という気持ちを伝え続けて関われば,きっと伝わる時がきます。その時の喜びは何ものにもかえがたいもの。
 「自分がここであきらめたら,相手の成長はない」と覚悟しましょう。

私の考え



私が若い時の指導方法は,毎日が今でいうとパワハラの連続でした。
パワハラを肯定するつもりはありません。ダメなことはダメです。
しかし,厳しく指導してくれた先輩がいたからこそ今の自分があると思っています。
いつの時代も本音で向き合えば,理解してくれる職員がいると信じたいです。
理想どおりに指導するのは難しいです。
今でも,あれでよかったのかなと思い返す出来事も多々あります。
特に,新しく管理職となって部下が出来た人は自分がしてもらって嬉しかったことをしてあげて,されて嫌だったことはやめましょう。
甘やかすことばかりが全てではありません,現場で一人前に活動できるように最低限のことは指導はするべきだと思います。