救助隊長になって思ったことを振り返る
隊長になった最初の1年目は,ある程度自分で想像はしていましたが,隊員の前に立ち,自分の行動や言葉で隊員を動かすことに緊張しました。
特に,救助隊長ではなく消防隊の隊長になった時も感じたことなのですが,頭の中で言葉を整理しないで指示した結果,自分の言葉がまとまっていなかったため上手く指示が伝わらなかったことがあります。
また,訓練前など予め話す内容を用意していたときに限って訓練結果に合わないようになって,用意していた言葉に説得力がなくなってしまい,ありきたりの話になることもありました。
「言葉で伝える」「行動で伝える」
人への伝え方,指示の仕方は色々あると思います。
この「言葉で伝える」「行動で伝える」というのは,受け取る側・指示される側に感じ方の違いがあり,言葉でなければ伝わらない事と,言葉が少なくても伝わるものがあると思います。
例えば,隊長の立ち位置です。隊長と副隊長のもと訓練を行う場合で隊長が指示する場合,副隊長は隊長の後ろに回るか,隊長が副隊長より前に出て説明するということです。
細かいことかもしれませんが,隊員は前に出て発言している隊長の発する言葉を集中して聞くことができるのです。
私たちは,プレゼンのプロでも心理学者でもありませんが,色々な工夫をすることによって訓練を効果的に行うことができます。
次に「行動で伝える」という例として,体力練成について指導する場合,その内容を5分で理解させることができる人と30分あっても理解させることができない人がいます。
この差はなにか?
当然話し方の上手い下手はありますが,大切なのはその人の日々の鍛練にあると思います。普段トレーニングをしない,メタボリックな体型の人に指導されても効果がないと思います。
つまり,隊長が日頃からトレーニングしている姿を見ていることで,言葉ではなく行動で伝えることができるのだと思います。
言葉にはない説得力があるのだと思います。
最後に
実際の指導方法については,各消防本部の隊長がいろいろなやり方を工夫していることだと思います。
私も先輩の指導方法を参考にして,自分がされて嫌だったことをせずに,嬉しかったことを加えて行ってきたつもりです。
今度は私の方法を参考にして次の隊長が,より良い指導を行い隊員がレベルアップできれば良いと思います。
山本五十六氏の有名な言葉に
「やってみせて、言って聞かせて、やらせてみて、 ほめてやらねば人は動かじ。」
この言葉には続きがあるそうです。
「話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。」
自らが率先垂範して態度で示し,情熱を持って指導し,隊員を信頼すれば,必ず隊員は応えてくれると思います。