消防士に対する指導について

2018年12月9日

指導 人間関係

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 初任科を卒業した新人消防士が現場で仕事をしている頃だと思いますが,新人消防士の育成の要となるのが,先輩や上司などの指導方法です。指導方法によって,新人消防士の成長が大きく左右すると思います。
 では,どのような指導をするべきでしょうか。

 今回は,新人消防士に対する指導について掘り下げて考えていきたいと思います。

1年目,2年目の消防士に対する指導についての考察


 「先輩や上司によって言うことが異なる」「消防学校で学んだことが現場で活かしきれない」という戸惑いは新人にとって大きなストレスです。

 しかし,この葛藤は成長するための重要な機会です。この成長するプロセスを支えるためには指導者の支援が不可欠です。

 例えば,冷凍した食事を解凍する際,「沸騰したお湯で解凍」「電子レンジで解凍」と先輩によって言うことが異なる場合があります。当然,戸惑いますし,腹も立ちますが,これを「何故,このような指示を出したのか」と一度考えてみることが大切です。
 私の例を出すと,採用されて間もないころ,林野火災が発生して,長期活動する部隊に交代要員と共におにぎりを作って持って行くことになりました。おにぎりを三角形に作っていると,「おにぎりは丸にするものだろうが」 とみんなの前で怒鳴られました。意味不明です。今なら確実にパワハラです。

 しかし,先輩や上司の命令にも,もしかしたら何か理由があるのかもしれません。思い込みで現場活動するのが一番危険なので,「うっとうしい,先輩・・・」と自分で理由を考えることをやめて無視してしまうと危険だと思います。私の例の場合は単なるこだわりが強い上司だったわけですが,,,現場活動での指示や命令には上司なりの考えや理由があるはずです。
 もし,理由もなく理不尽なことばかり言う先輩や上司なら本気で相手にしなくてもいいでしょう。そのような人は,みんなから嫌われて誰も相手してくれないので新人にちょっかいを出す場合が多いです。
 
 新人のストレスを最小限にとどめるには,人の成長プロセスを科学的に分析し,それに沿った育成計画を立て,実施することです。指導を始めてからは,新人の能力は日に日に成長・変化します。教えられて覚えるだけではなく,疑問に思ったことを自ら考え,新しい能力を自己開発する力もついてきます。

消防士に対する指導方法

 成長段階における指導方法の3ステップとして,
①手順通り,仕事を進める力を養う段階
 マニュアルで業務の手順が明確に示されている仕事など 
←新人の状況は,早く仕事を覚えたいと思っているので,教える指導が必要
  
②ミスをなくし安全・確実に仕事を進める力を養う段階 
 同じくマニュアルで業務の手順が明確に示されている仕事など
←新人の状況は,少しレベルが上がってミスをなくして確実な仕事をしたいと思っているので,考えさせる指導が必要

③工夫を加えて仕事を進める力を養う段階
 現場に応じて,どのように対応すべきかをわかっている仕事など
←現場の状況にあった対応をし,先輩や上司に信頼される仕事がしたいと思っているので,気づかせる指導が必要

 2年目までの職員でしたら,ステップ2に到達すれば合格点だと思います。
 最近の若手職員は学歴も体力もあり,私が採用されたころに比べて優秀な職員が多いですが,たまに「あぁ。。。」という職員もいます。あきらめずに根気よく指導することが重要です。
 本人にやる気がないのであれば,消防士でなく別の適正がある仕事を勧めてあげるのも一つの方法です。
 死ぬか生きるかの現場で命綱を預けられるかどうかです。

教える指導について

考えさせる指導について

気づかせる指導について